映画 「風立ちぬ」 に見る爽やかな後読感と、宮崎駿の構成力

こんにちわ。
今回は、前回  前々回  のお話から一休み入れまして、
スタジオジブリの新作映画 「風立ちぬ」 の感想を書いてみようと思います。



少なからずネタバレになりますので、
ちょっとでもネタばれするのが嫌な方は
ここから先は見ないようにして下さい。

逆に、見ようかどうしようかと思っている方や、DVDでいいや、
くらいに思っている方であれば読んで頂ける内容になっています。

企画屋本舗-kazetatinu.jpeg


さて。
では映画のあらすじや感想等を書いていこうと思います。



あらすじ


 この映画は、零戦の設計者として実在した「堀越次郎」をモチーフに、
 小説「風立ちぬ」のストーリー性を混ぜ合わせた フィクション映画 となっています。

 物語は主人公 「次郎」 が少年のころから始まります。
 少年次郎は、「大空」 そして 「大空を駆ける飛行機」 に憧れ、夢を抱いています。

 そんな少年次郎はある日夢を見ます。
 それはとても不思議な夢で、遠く異国の地にいる憧れの設計技師と言葉を交わす夢でした。

 技師は語ります。
 「空」について。そして「そこに詰まる夢」について。

 少年は答えます。
 その「夢」を追いかける事を。

 …青年時代を経て大人になった次郎は、夢であった飛行機の設計者となります。
 少年の頃から聡明で、学生時代にも優秀であった次郎は、期待の若者として、
 憧れの舞台での第一歩を踏み出します。



ストーリーについて


 ストーリーの簡単なあらましは上記の通りです。

 モデル「堀越次郎」をモチーフとしたしっかりとした
 縦軸のストーリーを持たせつつ、こちらでは語らなかった、
 「ヒロイン」 との淡いラブストーリーを横軸に持たせ、
 1人の人間の若者時代を描いた ”青春映画” となっています。

 夢に向かい ”真っすぐ” な主人公の小気味よさと、
 ヒロインとの ”淡い” ラブストーリーの切なさが絶妙なバランスとなっており、
 なんとも言えない後読感を覚える作品でした。

 あまり多くは語れませんが以下に自分が感じたポイントを書いてみます。



見所1:ファンタジーとリアルの絶妙なバランス


 「風立ちぬ」はここ最近のジブリ作品と同じく 「非ファンタジー」 です。
 実在の人物をモデルにしつつ、その半生を追うなスタイルで描かれた映画です。

 ですが、そこに主人公の 「夢」 という舞台を差しこむ事で、
 ジブリお得意のファンタジー風味なワクワク感を演出する事に成功しています。

 多くの場合、誰かの半生を描いた作品というものは、完全な非ファンタジーとなる事から、
 地味なシーンが多くなってしまうのですが、「夢の中だから」と言う事で、
 そのルールを上手く破っています。

 夢の内容はネタバレに繋がるので具体的には書けませんが、
 この映画では主人公の見る 「夢」 が物語の展開にも影響し、かつ、描写としても
 華やかな舞台装置として機能しており、一つの見どころになっています。



見所2:セリフ数が少なく、音楽と音が印象的


 「風立ちぬ」はあまりセリフ数が多い作品ではなく、かつ、
 物語のテンポ自体も、どこか淡々とした流れで描かれています。

 これまでの多くのジブリ映画では、誰かが主人公に話しかけ、
 それに対して誰かが反論し、更にそれに対して、
 主人公や周りの人が心に響く言葉を投げ返す、
 というセリフ劇を楽しませる事が多かったと思います。

 もっと具体的に言うと、「みんなが心に残る言葉」というのが沢山ある映画、
 だったのではないかと思います。

 例えば。
 「もののけ姫」での「お前にサンが救えるのか!」とか「私、オッコトヌシ様の目になる!」とか、
 「カリオストロの城」での「ルパンはとんでも無いものを盗んで行きました。 …貴女の心です」とか。

 今回、「風立ちぬ」にはこういった「決め台詞」みたいなものはなく、
 その代わりに、セリフの無いシーン(主人公が何かをちらっと見るとか)が多めになっており、
 その代わりに音や音楽が耳に残るような設計をしています。

 大人向け?だからでしょうか、
 「読み手に考えさせる」「読み手に考える隙を与える」時間の使い方をしているように感じました。

 こういったシーンが多い事もあり、
 恐らくですが10人いれば10通りの「風立ちぬ」を語り合える映画にになっていると思います。



見所3:ヒロインとの恋の描き方


 この映画のお楽しみの部分の一つでもある為、具体的には語れませんが、
 宮崎駿にしか描けない 「萌え」や「青臭さ」、「気持ち良さ」 があります。

 もっと言うと、普通の大人では恥ずかしくてシナリオに書けないような
 青臭い恋愛描写を随所に描いているのですが、なんだかそれが「心地よい」。

 モノ作りをしていて思うのは、こういった 「ちょっとしたクセ」や「こだわり」 が
 作り手ごとに必ず出てしまう事と、それが 「どれだけの人に受け入れられるか?」だと思っています。

 宮崎駿のこういった部分の感性は、殆ど天才的で、絶対に嫌な気持ちにならない、
 恥ずかしいけど楽しい、という絶妙なバランスで成り立っていると思います。

 「耳をすませば」が嫌いじゃないならきっと受け入れられると思います。



見所4:所々で考えさせられるセリフがある


 この映画のバックボーンには 「戦争」 というテーマが入っています。
 主人公が憧れ、夢に思って成し遂げた「飛行機の設計」は、「戦闘機の設計」でもあります。
 つまり、自分が作ったものが「誰かを殺し」「殺される」事に繋がる哀しみが常にあるのです。

 映画の中で印象的に思ったセリフの中に以下のものがあります。

  「俺たちは武器商人じゃないんだ」
  「良い飛行機を作っているんだ」

 とても象徴的なセリフだと思います。
 実際に当時、設計者として働いていた人たちにもこういった想いを持っていた人が多い事でしょう。
 戦争を知らない我々の世代への問いかけのようにも思いました。

 もうひとつ心に残ったセリフがあります。

  「戦争が終わったら、この技術でこれ(旅客機)を作るつもりなんだ」

 先に述べた主人公の憧れの設計技師が夢の中で語った言葉です。
 シーンとしては楽しいシーンでしたが、なんとも言えない哀愁を感じてしまう言葉でもあります。
  
 こういったセリフが随所にあり、それを少ない言葉、セリフで、読み手に考えさせる、
 そんなシーンが多かったように思います。



まとめ


 …などなど。

 書き出せばきりがないので、この辺で切り上げますが、
 色々な観点での面白みを2時間程度の枠に閉じ込め、
 キッチリとした 「娯楽映画」 に仕上げてしまう所に、宮崎駿の構成力の凄さを感じてなりません。

 また、常にその宮崎駿を活かし続けている鈴木プロデューサも、
 超一流の仕事人として尊敬の念を禁じ得ない想いです。

 近年のジブリ映画の中でも珠玉の出来だと思いますので、
 これからこの映画を見たい方は是非見に行ってみて下さいませ。



情報いろいろ



 ■風立ちぬ 予告編
 

 ■風立ちぬ 上映劇場
 → 上映劇場一覧(TOHOサイト)

 ■風立ちぬ 上映スケジュール
 → 上映スケジュール(MovieWalker)

 ■風立ちぬ 公式
 → 公式ページ

■風立ちぬ テーマ曲「ひこうき雲」
 

 ■関連商品
  風立ちぬサントラ(レンタル/通販)
 企画屋本舗 企画屋本舗

 飛行機雲
 荒井由実/ひこうき雲


ではではまた次回。
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